こんにちは、一般社団法人U&I(ユーアンドアイ)です。
私たちは、相続や遺言、老後の暮らしに関するお悩みを幅広くサポートしております。
今回は、相続の中でも特にトラブルが起こりやすい「土地の共有」について、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
相続や不動産の話題は、人生のどこかで必ずと言っていいほど関わるものです。特に土地は、家族の思い出が詰まっていたり、資産としての価値が大きかったりと、感情とお金の両面で扱いが難しい財産です。
相続の場面では「兄弟で平等に分けるために土地を共有にしよう」と考える人も少なくありません。確かにその場では一見公平に見える選択肢です。ところが、土地を共有することは、将来的に家族や親族の関係をこじらせる大きな火種になることがあります。
では、なぜ土地の共有はトラブルにつながりやすいのでしょうか。
順に解説していきます。
1. 相続した土地を自由に使えない
土地というのは「持っていれば自由に使える」と思いがちですが、共有名義の場合はそうはいきません。誰か一人が勝手に土地の家を建て替えたり売却したりすることはできないのです。
土地を売りたい、建物を建てたい、駐車場にしたい──。
こうした大きな決定には、共有者全員の同意が必要です。誰か一人でも反対すれば実現できません。結果として「何もできない土地」になってしまうことも珍しくありません。
2. 代を重ねると権利関係が複雑化
土地共有した時点で兄弟・親子間で意見がまとまっていても、それが何十年後も続くとは限りません。相続が発生すると、共有者はどんどん増えていきます。
例えば兄弟2人で共有した土地も、次の相続ではその子どもたちが新たな共有者になります。孫世代までいくと、顔も知らない親族が権利を持つことになり、意思統一はさらに難しくなります。土地を「持っているのに使えない」状態に陥り、トラブルが発生します。
3. 費用負担で揉めやすい
土地は「持っているだけ」で維持費がかかる財産です。草刈りや塀の修繕、そして固定資産税など、避けられない支出があります。共有状態だと、この費用負担が争いの元になりやすいのです。
「自分は使っていないのに負担だけある」「払っている人と払わない人がいる」
──こうした不公平感が、兄弟間・親族間の関係を悪化させる火種になります。
4. 売却が難しく、価値も下がる
土地を資産として考えるなら「いざという時に売れるかどうか」も重要です。
しかし共有の土地は、処分が非常に難しくなります。
不動産は単独所有であればスムーズに売れますが、共有状態だと買い手がつきにくく、価格も下がりやすいのが現実です。特に「持分だけを売る」ことは極めて難しく、事実上の凍結資産になりかねません。
5. 最終手段は裁判
「話し合いで解決できない場合はどうなるのか?」
──その答えは、裁判所の判断に委ねることです。これがまた大きなリスクをはらんでいます。
合意が取れない場合、裁判所に「共有物分割」を申し立てるしかなくなります。しかし裁判所の判断で競売にかけられると、市場価格よりも低い値段で処分されてしまうケースが多く、大きな損失につながります。
まとめ
土地の共有は「公平に分け合う」ようでいて、将来のトラブルを招きやすい形態です。相続や購入の段階で「なるべく単独所有に整理する」ことが望ましいですが、どうしても共有にせざるを得ない場合もあります。
そのような時に大切なのは、亡くなる方自身が事前に誰が土地や財産を承継するのかをきちんと取り決めておくことです。遺言がないまま相続が始まると、残された家族は話し合いで方針を決めなければならず、意見の対立から関係が悪化するケースが少なくありません。
さらに、遺言を作る際には「公正証書遺言」を残すことが有効です。自筆の遺言は形式の不備で無効になるリスクがありますが、公正証書遺言であれば法律の専門家(公証人)が関与するため、効力が確実で安心です。また、遺言の内容も明確になり、将来の解釈をめぐる争いを防ぐことができます。
土地は一生の資産であり、家族の思い出や生活の基盤でもあります。だからこそ、「誰にどう残すか」を事前に考え、遺言として形にしておくことが、家族を守る最善の方法です。
一般社団法人U&Iでは、土地相続に関するご相談や、遺言作成のフォロー・サポートを承っております。専門的な視点からアドバイスを行い、皆さまの大切な財産を安心して次の世代へと引き継ぐお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。