こんにちは、一般社団法人U&I(ユーアンドアイ)です。
私たちは、相続や遺言、老後の暮らしに関するお悩みを幅広くサポートしております。

当法人のブログでは、制度や手続きの話題が中心になることが多いのですが、今回は当法人スタッフの好きな本の雑感をこちらのブログにてお届けいたします。

皆様はどのような小説が好きでしょうか。私は救われないストーリーの小説を好む傾向にあります。私が好きでなおかつ有名な小説家でいうと、20世紀最大の不条理小説を描いたカフカ、自然主義文学の泰斗であるモーパッサンなどでしょうか。

これらの小説家は全編を通して救いを描くことがなく、登場人物が打ちのめされ、何のケアも施されないまま物語が終わります。ただ理不尽な物語が理不尽に終わり、誰も救済されない点にむしろ私などは共感してしまいます。

カフカの有名な『変身』では、毒虫となったザムザが父親の投げたリンゴにより致命傷を受け、徐々に弱っていき、最後には死んで亡骸を家政婦に掃除されます。
長編小説の『審判』では主人公のヨーゼフ・Kが理由の分からない罪で逮捕され、何の判決も言い渡されないまま最期には黒い服を着た二人の男に連れられて殺されてしまいます。

モーパッサンの小説もカフカに負けず劣らず登場人物が救われません。
彼が書いた長編小説である『女の一生』は、ジャーヌという少女の一生を通じて人生の悲惨さを描きます。裕福な家に生まれ、豊かで希望ある人生であるかのように思えたジャーヌの一生は徐々に暗雲が立ち込めてゆきます。最期にはジャーヌの一人息子も亡くなり、失意のまま孫を抱きしめて馬車に乗って終わりを迎えます。
同じくモーパッサンの短編小説である『港』も全く救いのない話です。長く実家を離れていた船乗りがとある港町で娼婦を買います。ところが話を重ねていくうちに、この娼婦の正体が実の妹だったということが分かり、兄妹は悲嘆に暮れるといった内容です。

作中に救いや希望を見出す小説群も魅力を感じられるのですが、人生の明るい面を向いて生きようという小説は個人的にはどうしてもそれがお為ごかしのように思えてしまいます。
明るい小説というのは明るい気分の方々が読む分には十分楽しいジャンルではあるのですが、平素人生に対して悲観的であるような人々にはその明るさがかえって辛かったり、共感を得ることが難しいのではないでしょうか。
私は暗い小説こそ暗い気分の読者に寄り添ってくれるような温かみを感じます。
気がかりな夢から目を覚ましたら毒虫になっていたザムザも、理由の分からない罪を言い渡されたヨーゼフ・Kも、明るい人生を期待して失意の底に沈んだジャーヌも、偶然港町で哀しい再開を果たした兄妹も、あらゆる人々の暗い人生の一側面を表しているのではないでしょうか。
「人生は明るいよ」と手を引っ張ってくれるような小説より、「人生はしんどいよね」と一緒にうなだれ寄り添ってくれる———そんな小説の方が私にとっては優しく感じられます。

安易な救済を与えず、共にどうしようもない人生に立ち往生してくれる、そういう小説や小説家に私はどうしても惹かれてしまいます。